「人を信じて。」
そういったのは、私だった。
でも、本当に誰一人信じられない人間も、私だった。
全てに逃げ道を作る。
最初から信じなければ、裏切られた時も痛くない。
自分からは手を出さない。
思いが強ければ押し殺す。
火が灯ることを望み、熱くなることを恐れ。
近くなれば、遠ざかり。
全ては己のため。
己が愛しいがため。
何故こうなったのか、答えは知っている。
人に話す事のできない罪。
心に抱えたまま、毎日を生きている。
忘れるために快楽を求め、救われるために安住の地を探す。
黙っていれば解らない事。
己の中に抱える闇。
人は話すことで救われるの?
人は心開くだけで許されるの?
努力した分、成功した時の喜びが大きいように、
信じた分、裏切られた時の傷は深い。
もう一度、信じてみようと努力してみた。
しかし、心のどこかで裏切りを求めていた。
些細な事でいい、早いうちなら痛くないから。
そうしてめぐり合った相手は、心に傷を持っていた。
状況は違えども、罪を犯した人間。
共感できる部分に安心し、傷を舐め合う関係。
どうしたら、報われるの?
どうしたら、許されるの?
どうしたら、救われるの?
神様、そこにいるのならば、どうか答えを教えてほしい。
どうしたら、もう一度人を信じる事ができるのか。
罪は、罰として帰ってくるの?
闇を抱え、嘘で固める。
そんな人生、最初から望んでいたわけじゃない。
人は、いくらでも強くなれる。
人は、いくらでも弱くなれる。
心とは、ほんのちょっとの隙間があれば、
脆くも崩れ去るもの。
こういうのを「悪魔のささやき」というのでしょうか?
想う心があるから、壊す心もある。
光が当たるところには、かならず影ができるモノ。
罪を犯すのは、人。
許してくれるのも、人。
ならば、誰か私を許してください。
誰か私達を救ってください。
もう一度、チャンスをください。
そして私も、許せる人間になりたい。